ポスト近代資本主義
以下は2016年2月23日の日本経済新聞の記事である。
貼り付け開始
2008年のリーマン・ショックの教訓でもある。ウォール街の金融機関は目先の収益や株価を求めるあまり住宅バブルとその崩壊を招き、経済という社会公器を傷つけた。
国民の怒りは8年後の今も続き、ウォール街は民意を受けた規制に苦しんでいる。オバマ大統領は今月打ち出した予算教書に、暴走を止めるとして大手金融機関の負債に手数料を課し、米証券取引委員会(SEC)などの予算を5年で倍増する方針を盛り込んだ。
そんなウォール街に大量の人材を送り込んだのがハーバード大だった。同大は今、社会を敵に回す経営がいかにもろく、逆に社会への貢献にこそ収益の機会があることを教える。
リーマン前に全盛を迎えていた「米国型資本主義」の総本山、ハーバードの変化には、「社会」をキーワードとする新たな資本主義の姿がちらつく。
日本企業はお手本になる可能性を秘めている。近江商人の心得「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」で知られるとおり、企業には社会と共存する風土がある。「公益に心を用いんことを要とす」。株式会社制度を日本に導入し、日本の資本主義の父といわれる渋沢栄一も、企業の心得をこう説いた。
貼り付け終了
ハーバード大学は新しい資本主義のキーワードを「社会」として、社会貢献できる企業が収益もあげると考えている。これはどういうことか、当たり前のことに戻ってきている。上の記事でも紹介された近江商人の「三方よし」など、日本においてはそれが商売の基本であった。いつのまにか、日本も欧米流に傾き「競争」して「現金」を追いかけるようになった。
しかし、企業の役割は「社会の役に立つ」という当たり前で普遍的なものではないだろうか。本田宗一郎や松下幸之助は、お金儲けではなくて「何が人の役に立つか」というところから線を引いた。ポスト近代資本主義は、実は日本に元々あった原風景なのかもしれない。
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