「論理療法」アルバート・エリスを読んでみた6
いよいよ10度を下回る日もあり、コートが要る季節である。カレンダー配りも始まり年末年始の足音が聞こえてくる。
さて、論理療法の思考は完全主義を含まないというところまできた。今回は第8章最終節「論理的生活の意味」、いわゆる論理主義者が示す合理性が絶対的な基準であるという考えかたにたいして、エリスは徹底的に批判している。そして、アルバート・エリスは「論理的思考を至高善つまり本来的な目的と考えたりしないで、当然のことだがそれを、人間の幸福を最大限増大し、逆に幸福の障害となる不安や憂うつや憎しみなどを最小にする目的のための一手段と考えれば、われわれは、論理性が過剰となる危険性を逃れることができるだろう」(p105)と述べている。つまり、自然のことわりや理性に素直に順応して、幸せを目指す思考をすべきである。それは合理性や効率ではなく人間としての幸福か目的なのである。やはり、ここでも完璧主義を含んではいない。
論理療法協会を設立したM.C.モールツビー・ジュニア博士が5つの特徴を挙げている1.主観的な意見とは対照的に、客観的な事実から自分の思考を組み立てる。2.論理的思考に忠実に従って行動すれば、生命や身体を保護することになる公算は大である。3.論理的思考は個人的な人生目標をできるだけ早く確定するのに役立つだろう。4.論理的思考によれば、内的矛盾や動揺は最小限にとどめることができる。5.論理的思考に従った行動によって、ともに暮らす人や交際している人々との間の望ましくない葛藤を防ぐことができる。(p105)この5つである。
論理思考の目的はやはり「主観的幸福感」であり、「他者の幸福」でもある。そこに、暖かい他者との関係性が生まれてくるのです。
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